『老人の専門医療を考える会』は、老人医療の専門家集団として未来に対する高い理想を堅持し、老人医療のあるべき姿を追い求め続けています。国民にとっても老人医療はより身近な問題として認識される中で、確実に老人医療は変化しています。対人的なサービス業としての自覚、個々の老人にふさわしい医療の模索、地域ネットワーク機能との連携などの実践が各地で行われ、利用者の信頼と支持を得つつあります。当老人の専門医療を考える会は、老人医療に携わる当事者の責任ある会として、今後も継続して現場によりよい刺激を与えるとともに、広く一般の皆様にも、老人医療に対し、ご理解と、忌憚のないご意見を頂戴してまいりたいと考えております。
今回の第30回全国シンポジウムでは、昨年に引き続き、「後期高齢者医療制度」をテーマに取り上げました。平成20年4月施行予定で検討が進められているこの制度は、75歳以上の後期高齢者に対して、加入者の保険料、国保および被用者保険からの支援ならびに公費により賄う新たな医療保険制度ですが、財政的な課題に対する施策であり、その具体的な仕組みや取り扱いについては、今後も多くの検討課題があると考えます。議論を深めていく中で国民が関心を持ち、実際にサービスを提供する医療機関や関係者にとって、新たな制度が及ぼす影響を十分に理解し、対象者に有益なサービスを提供できるようにすることが求められます。
本シンポジウムは、医療の現場からの現状報告を通して、新たな制度の基本的な理解と、今後なすべきことを地域連携からの視点も含めて討論する場になることを期待して開催したいと思います。
老人の専門医療を考える会
会 長 平井基陽
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