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老人病院機能評価
D. 病院の機能に関する項目

1.許可病床数は守られていますか。


a.
各病室の定員が守られ、男女、病状別に配慮されている
7点
b.
各病棟の定員は守られている
4点
c.
病院の定員は守られている
2点
d.
病院の定員を超過することがある
0点

・病室入口に表示された患者人数ではなく、都道府県に届け出られている各室の人数によりチェックする


(D−1 解説)
 入院患者の快適性を少しでも損なわないという視点に立てば、定員の遵守は当然のことではあるが、現実の場面ではなかなかそうもいかないことがある。病室や病棟は男女別、病状別等、各種の要素によって分けられており、もし各病室や各病棟の定員を厳密に守ろうとすれば、病院全体としての稼働率は低下せざるを得ない。多少ともスケールメリットに依存している現在の老人病院の実態からすれば、定員の遵守状況は評価に値する。

*設問D−2〜8は常勤換算した職員数についてお答え下さい 。

2. 医師


a.
基準より20%以上の配置
3点
b.
基準以上20%未満の配置
2点
c.
基準どおり
0点

3. 看護職員


a.
基準より20%以上の配置
4点
b.
基準の10%以上、20%未満の配置
3点
c.
基準以上、10%未満の配置
2点
d.
基準どおり
0点

4. 介護職員


a.
基準より20%以上の配置
4点
b.
基準の10%以上、20%未満の配置
3点
c.
基準以上、10%未満の配置
2点
d.
基準どおり
0点

(D−2〜4 解説)
  老人病院では、直接患者に接する職員数の多寡がサービスの質そのものに大きく関わることが多い。
対象になる老人の症状や介護度にもよるが、100人につき少なくとも医師は3人以上、看護職員17人以上、介護職員20人以上は揃える必要があると思われる。


5. 医療ソーシャルワーカー(入院患者100人当たりの人数をお答え下さい)


特a.
医事業務等から離れた専属の者が2名以上
7点
a.
医事業務等から離れた専属の者が1名以上2名未満
3点
b.
医事業務等から離れた専属の者が1名未満
2点
c.
なし
0点

(D−5 解説)
 医療ソーシャルワーカーの果たす役割は老人病院でもきわめて大きい。特に患者本人と家族、病棟、病院の間に立って情報の収集、整理や利害の調整、困難への援助等、専門知識と技術を駆使する医療ソーシャルワーカーは老人病院に不可欠といってもよい。独立した医療相談室ももつ必要がある。


6.理学療法士、作業療法士または言語聴覚士(入院患者100人当たりの人数をお答え下さい)


a.
3名以上
3点
b.
3名未満
2点
c.
なし
0点

(D−6 解説)
  リスクの高い高齢者の残存機能を引きだし、十分に活用するのが老人病院の役割とすれば、PT、OT、STの活躍は不可欠であり、また、看護、介護職員の日常の対応の中へ、PT、OT、STの思想や技術を導入することで成果は格段に大きくなるに違いない。ハード面、特に専用スペースの確保も欠かせない。


7.管理栄養士(入院患者100人当たりの人数をお答え下さい)


a.
2名以上
3点
b.
1名以上2名未満
2点
c.
1名未満
0点

8.調理スタッフ(入院患者100人当たりの人数をお答え下さい・委託を含む)


a.
8名以上
3点
b.
5名以上8名未満
2点
c.
5名未満
0点

(D−7・8 解説)
  各種の障害や疾病をもつ老人一人一人に食事を通してきめ細やかな対応をしようとすれば、管理栄養士ならびに調理の現場に携わる調理スタッフの数は増えざるを得ない。


D−2〜8
・いずれも常勤換算人員数でチェックする。


9. 一看護単位の平均患者数は何名ですか。


特a. 40名以下
10点
a.
41名以上50名以下
7点
b.
51名以上60名以下
4点
c.
61名以上
0点

・一看護単位の患者数の最頻値で判定する。


10.夜勤体制は適切ですか。患者100名当たりの夜勤者数は、


特a .

8名以上

10点
a.
6名以上8名未満
7点
b.
5名以上6名未満
4点
c.
4名以上5名未満
2点
d.
4名未満
0点

・{病棟に所属する実働全夜勤者数(医師を除く)÷全入院患者数}×100 で計算する
・夜勤時間帯常時の勤務人数でカウントする


(D−9・10 解説)
  一看護単位の構成患者、構成職員数をどの程度に定めるかは、看護、介護の質を確保する上で非常に
大きな問題である。一般に、一看護単位当たりの患者数、職員数とも少ないほどマネージメントしやすい。
また、夜勤帯も含めて、職員一人当たり受け持ち患者数は少ないほど細かく対応できる。一方、患者一人当たりに投入できる人件費は経営的な理由から限界がある。特に夜勤帯の配置人数を増やすと、急速に人件費負担が増加する。以上の要因が複雑に絡み合って、一看護単位の平均患者数、夜勤体制が決められる。経験的には、老人病院の場合、一看護単位は患者数50名未満、構成職員数25名、夜勤帯は2〜3名とするのが現実的な望ましい形であろう。


11.リハビリテーションの施設基準が満たされていますか。


特a 脳血管リハT、運動器リハT、呼吸器リハTの基準をすべて取得している 。
7点
a.
脳血管リハT、運動器リハT、呼吸器リハTの基準を2つ取得している。
4点
b.
脳血管リハT、運動器リハT、呼吸器リハTの基準を1つ取得している。
3点
c.
脳血管リハU、運動器リハU、呼吸器リハUの基準を1つ以上取得している。
2点
c.
脳血管リハU、運動器リハU、呼吸器リハUの基準を1つ以上取得している。
0点

(D−11 解説) 
  D−6 解説参照


12. 災害時に備え、防災訓練を実施していますか。


a.
年4回以上行っている
3点
b.
年に2回以上行っている
2点
c.
年に2回未満である
0点

・放水・消火訓練、避難・誘導訓練等の実施状況を実施記録で判定する


(D−12 解説)
 病院内で最も注意するべき災害は火災である。自力ではすばやく移動できない患者が大部分であることを考えると、火災発生時には初期消火以外に方法がないようにも思える。したがって、患者、職員を問わず、火災発生防止への徹底した管理が行われるべきであり、また、訓練は初期消火に重点をおき、スプリンクラーの設置はぜひとも実施すべきである。


13. MRSAや疥癬等の院内感染の防止のための配慮がなされていますか。


イ. 発生時には、特別の病棟や病室を設け、感染の拡大防止に努めている
ロ. 発生状況に関する情報がすみやかに全関係者に伝えられている
ハ. マニュアルをつくり病院全体として定期的に会議でチェックしている
ニ.必要に応じて対策委員会をつくって対応している


a.
4点とも実施されている
7点
b.
3点実施されている
4点
c.
2点実施されている
2点
d.
1点のみ実施、またはどれも実施されていない
0点

・ 院内ルール、実施状況を確認し判定する


(D−13 解説)
  院内感染防止は、患者のみならず職員の安全確保の視点から進められるべきである。肝炎、結核といった従来の感染症もさることながら、現実場面では施設で流行している疥癬、あるいはMRSAへの対応が頻度としては大きい。


14. 退院促進に努めていますか。6ヶ月以上の長期入院者の比率は、


特a.
平均在院日数 90日未満
7点
a.
20%未満
4点
b.
20%以上40%未満
3点
c.
40%以上60%未満
2点
d.
60%以上
0点

・ 資料により判定する


( D−14  解説)
 入院時よりも症状の改善がみられ、入院の継続が不要と判断された患者については退院促進に努めるべきである。しかし、病院によっては、入院時に比してADLも含めてなんらの改善もないのに、病院側の都合により一方的に退院を迫るケースも少なくない。退院の促進には社会資源の有効利用と利用者の利益優先の双方に配慮する必要がある。


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