トップへ老人の専門医療を考える会
 
老人病院機能評価
B 医療、看護、介護に関する項目

1. 患者の状態やその変化を的確に把握するための調査が行われていますか。

イ. 一定の評価方式(書式)にもとづき行われる。
ロ. 全患者に行われている 。
ハ. 1ヶ月に1回以上行われている 。
ニ. 調査結果が集計、分析され、公表されている 。

a.
4点とも実施している
7点
b.
3点が実施されている
4点
c.
2点のみ実施されている
2点
d.
1点のみ、またはどれも実施されていない
0点

・状態評価表の有無、内容、実施状況、集計表の有無、伝達方法をそれぞれチェックする。
・評価項目には、少なくともADL、体重、褥瘡の有無や状態、チューブ類装着の状況、認知症の程度、等が含まれることが望ましい。


2. 患者の状態の評価にもとづき、看護・介護計画は適切に立てられ実行されていますか。


イ.
全患者に対して行われている
ロ. 入院後すみやかに、その後は病状の変化時、または少なくとも3ヶ月に1回以上実施されている
ハ. 明文化され、全担当者に伝達されている
ニ. 家族にも伝達されている

a.
4点とも実施されている
7点
b.
3点が実施されている
4点
c.
2点以下実施されている
2点
d.
どれも実施されていない
0点

・実施状況、文章化された内容、家族への伝達の方法、形式をそれぞれチェックする

(B−1・2 解説)
 一人一人の患者の状態を正しく評価し、それにもとづいて患者への適切な看護・介護計画を立案し、実行することは、効果的かつ効率的な対応や病棟の運営を行う上で不可欠であるが、それにもまして、定期的かつ反復してこれら一連の作業を行うことで、看護、介護の成果が明確にされることが大切である。なぜなら、日頃の自分たちの努力の結果が明らかな形で示されるとなれば、より大きな成果を目指して意欲もわき、達成のよろこびも大きくなるからである。評価とそれにもとづく適切な看護・介護計画こそ意欲の原動力である。


3. 必要な医療は次の視点に立って行われていますか 。


イ.
関わる専門職間で患者のQOLを高めるという視点から医療の関わり方が検討されている
ロ. 高齢者に発生頻度の高い疾患(いわゆるコモンディジーズ)に十分対応できる設備、器具、体制にある
ハ. 医師のみならず他の医療専門職との検討のもとに行われている
ニ. 患者や家族の納得の得られる医療を行っている

a.
4点とも実施されている
10点
b.
3点実施されている
4点
c.
2点実施されている
2点
d.
1点のみ実施されている
0点

・職員意識調査によりチェックする

(B−3 解説)
 高齢者への医療にあたっては、一般成人とは大きく異なる心身の特性、障害や疾病の特性のみならず、医療の関わり方、あるいは医療適応の可否について、特に患者本人や家族の意向の正しい把握や、患者や家族への必要にして十分な説明も不可欠である。また、慢性経過をたどる疾病が多いことから、とかく看護職員にまかせきりとなったり、きめ細かな対応に欠ける状況に陥らないよう注意すべきである 。


4.植物状態や気管カニューレ装着状態等、常時濃密な医学的管理を必要とする患者の受け入れは行っていますか。 調査時の前1年間における新規入院患者数に対する該当患者数の比率は 、


a.
5%以上
10点
b.
2%以上5%未満
4点
c.
1%以上2%未満
2点
d.
1%未満
0点

5.現在の全入院患者中、植物状態や気管カニューレ装着状態等の患者が占める比率は 、


特a 10%以上
10点
a.
5%以上
4点
b.
3%以上5%未満
3点
c.
1%以上3%未満
2点
d.
1%未満
0点

・ 実態を調査して確認する

(B−4・5 解説)
 老人病院の役割として、急性期治療は終えたものの、常時医療行為が必要であったり、密度の濃い医学的管理、観察を必要とする老人の受け入れがある。これらの老人を老人病院が引き受けることで、第一線の急性期を扱う病院の機能が確保できる。また、この機能は他の老人施設では絶対対応できない部分である。特に、包括払い制の導入病院では、このような患者の受け入れを意図的に拒否したり、排除したりすることがあってはならない。


6.認知症による行動障害をともなう老人患者の受け入れは可能ですか 。


特a すべての行動障害に対応できる
10点
a.

特殊な例(著しい暴力行為、性的逸脱行為、放火癖等)を除き、各種の行動障害に対応できる

7点
b.
大部分の行動障害に対応できる
4点
c.
中程度の行動障害までは対応できる
2点
d.
行動障害のある老人は扱わない
0点

・主に入院相談窓口と職員の話よりチェックする
・激しい興奮、奇声等があっても受け入れ可能ならば(a)
・認知症患者受け入れに消極的なところがみられれば(d)


(B−6 解説)
 老人患者ではかなりの頻度で認知症がみられ、身体疾患の管理と同時に認知症にも対応しなければならない状況も稀ならず発生する。したがって、認知症による行動障害を有する老人にどの程度対応できるかは老人病院の機能として大切である。


7.患者への対応は適切ですか 。


a.

受容と敬愛の態度に徹し、ゆったりと対応している

7点
b.
受容と敬愛に満ちているが、ゆったりした雰囲気に欠ける
4点
c.
やさしさや親切の情はあるが、子供扱いをする職員がいる
2点
d.

やさしさや親切さに欠けたり、時に指示的であったり、拒絶的あるいは馬鹿にした態度をとる職員がいる

0点

・ 職員の現場での対応を観察して判定する


(B−7 解説)
 自分よりも弱い立場の存在に対応する時に、人の心の持ち様が表出されやすいものである。加齢や障害、疾病ゆえに能力の著しく低下している高齢者へどんな態度で接しているかは、職員の質をはかる最良のバロメーターであるといってよい。愛情をこめて接するとはいえ、子ども扱いしたり、愛称で、あるいは『おじいちゃん、おばあちゃん』で呼びかけたりするのは、その家族の心情を思うと厳しく戒める必要があろう。 また、高齢者への対応はゆったりとした気持ち、ゆったりとした行動こそ不可欠である。あわただしい言動は老人患者の気持ちを不安にし、その結果、興奮や異常行動を誘発することにもなる。


8. 水分や栄養補給の手段として、点滴(IVHを含む)や経鼻経管栄養(胃ろうを含む)よりも経口摂取を重視していますか。その指標としての点滴(IVH)や経鼻経管栄養を実施中の患者の比率は、


a.

5%未満

4点
b.
5%以上10%未満
3点
c.
10%以上20%未満
2点
d.

20%以上

0点

・患者の状態のいかんは問わない
・水分や栄養補給を目的としない点滴等(例えば、抗生剤投与のための100tの点滴等)はここではカウントしない


(B−8 解説)
 嚥下障害、摂食拒否の強い際には、経管栄養あるいは点滴注射による水分や栄養分の補給は避けられぬ場合があるが、患者から見れば大変な不快と苦痛、行動制限をともなうものである。一方、点滴や経管栄養は、介護する立場から見れば、時間をかけて経口摂取させる、あるいはその介助をするよりもはるかに手のかからない対応方法であるため、多用されやすいことも事実である。自分で噛み、味わって食べることは生きている最大の楽しみの一つでもあることを考えると、点滴や経管栄養はできるだけ減らす努力が必要である。      


9.口腔ケアは十分に行われていますか 。


a.

全員に1日3回以上

7点
b.
全員に1日2回以上3回未満
4点
c.
全員に1日1回以上2回未満
2点
d.

全員に1日1回未満

0点

・自分の歯のある場合は、1日に施行する歯磨きの回数について
・総入れ歯の場合は、その洗浄の回数について
・なお、実施回数に関わりなく、口臭の程度により1ランク上下させる


(B−9 解説)
 口腔内のケアはとかく後まわしにされやすい部分であるが、呼吸器や歯根周囲の感染予防、歯牙の保持のみならず、老人病院特有の不快な臭いの減少のためにも、きわめて重要な役割を果たしている。


10.事故防止対策は十分ですか 。


イ. 所定の事故報告書がある
ロ.事故発生時にはすみやかに報告がなされている
ハ.事故統計が定期的に職員間で公表されている
ニ.事故発生の原因が分析され、対策の検討、実行がされている

a.

4点とも実施されている

4点
b.
3点実施されている
3点
c.
2点実施されている
2点
d.

1点のみ、またはどれも実施されていない

0点

(B−10 解説)
 転倒、転落、骨折、誤飲による窒息、異食、負傷、他者への暴力等は老人病院では少なからず発生するが、その頻度は低いに越したことはない。対応の決め手となるのは、事故の発生状況や頻度を的確に把握し、対策を共有することである。


11.床ずれの発生防止、治療に努めていますか。その指標として褥瘡のみられる率は、(他からの持ち込みも含めて)


a.

1%未満

10点
b.
1%以上5%未満
4点
c.
5%以上10%未満
2点
d.

10%以上

0点

・ 処置の行われている褥瘡はすべてカウントする


(B−11 解説)
 床ずれの発生は、栄養不良等との関連はあるにしても、当該部位の不潔、湿潤、長時間にわたる物理的圧迫こそが主な原因である。ぬれたオムツのままで長時間寝かせきりにしておけば、床ずれは必発といってもよい。これが、床ずれの発生率こそ寝たきり老人の看護、介護の質、ひいてはその病院の質をはかる尺度の一つといわれるゆえんである。防止のための最も有効な対策は、頻繁に体位を変換することである。また、老人病院は床ずれ治療のスペシャリストでなければならない 。        


12.オムツはずしに努力していますか 。
オムツあるいは尿留置カテーテル着用者の比率は(夜間のみも含めて)、


a.

40%未満

10点
b.
40%以上60%未満
4点
c.
60%以上80%未満
2点
d.

80%以上

0点

・ 終日使用はもちろんのこと、夜間のみ、あるいは用心のための着用も含めてカウントする


13.オムツの使用法は適切ですか 。


イ.
随時、頻回にオムツ交換・チェックが行われている
ロ. 多様なオムツが使われている
ハ. オムツはずしのため、トイレ誘導、ポータブルトイレの使用等、積極的な取り組みがなされている

a.

3点実施されている

7点
b.
2点実施されている
4点
c.
1点実施されている
2点
d.

どれも実施されていない

0点

(B−12・13 解説)
 老人病院の看護、介護に対する悪評の3大要因は、オムツをあて、寝たきりにし、床ずれをつくるというものである。なかでもオムツ使用は老人患者の尊厳を著しく傷つけるとともに、日常生活での緊張の糸を断つものであり、何としても避けたいところである。しかし、すでにオムツをあてられた状態で入院、あるいは病状等によりオムツの使用を余儀なくされた患者に対しては、極力、快適性や機能性に配慮した多様なオムツを使用し、オムツはずしに向けて最大限の努力を払うべきである。また、オムツ使用者に対して、原則として排尿、排便のサインをできるだけすばやくキャッチし、即刻の対応で少しでも失禁にともなう不快感を解消すべきである。失禁後、対応までの時間が長いほど、弄便や床ずれ等、二次的な問題を引き起こすこととなる 。    


14.寝食分離は実行されていますか。3食ともベッドでとる患者の比率は 、


a.

10%未満

10点
b.
10%以上30%未満
4点
c.
30%以上50%未満
2点
d.

50%以上

0点

・ ベッドでとるとは、ベッド上で寝たまま、またはベッド上で座って、あるいは、ベッドの端に腰をかけて摂食することをいう。食事不摂食者、鼻腔栄養者は母数から除く


(B−14 解説)
 空間が十分でない、人手が足りない、設備がない等の理由から、ベッドの上で1日の大部分を過ごし、食事もベッドの上という光景は、今もってわが国の老人病院では極めて普通にみられている。食べやすい姿勢をつくり、生活にメリハリ、けじめをつけることで残存能力を引きだすといった視点からも、ベッドから離れ、正しい姿勢での食事が望ましい。


15.日中の着替えは実施されていますか 。


a.

半数以上の患者に毎日行われている

4点
b.
3分の1以上の患者に毎日行われている
3点
c.
一部の患者で毎日行われている
2点
d.

ほとんど行われていない

0点

・ 着替えとは、日中の起床時と夜間の就寝時、それぞれにふさわしい衣服に取り替えることをいう
・上に羽織る程度は着替えにカウントしない


(B−15 解説)
 身体的に重症な患者を除き、日中に着替えをすることは患者の生活にメリハリを与える上できわめて大きな効果をもつ。特に、できるだけお洒落な服装を心掛け、化粧を含めきちんとした身だしなみが有効である。


16.抑制等は理由のいかんをとわず回避するように努力していますか 。


a.

全くないに等しい

7点
b.
原則として行っていない
4点
c.
医療上の理由のみ認めている
2点
d.

本人の転落や転倒等の危険、または周囲への危害防止のためにでも行っている

0点

・ 抑制とは人手以外の物理的な力で行動の自由を長時間(15分以上)にわたり制限する行為を指す。ベッド上等はもちろん、車椅子からの立ち上がりやずり落ちを防ぐための抑制もカウントする。


17.抑制等の施行は、次の手続きを経て行われていますか 。


イ. 家族の了解を得ている
ロ. 理由ならびに実施状況を明記した書類がある
ハ. 主治医の了解をとっている
. 病院長へのすみやかな報告がなされ、病院としての実施状況が一目瞭然である


特a.

抑制は全く行っていない

10点
a.
4点とも行われている
4点
b.
3点が行われている
3点
c.
2点しか行われていない
2点
d.

1点、あるいははっきりした規程がないまま行われている

0点

・手続きの書類、痕跡でチェックする。


18.抑制等の発生頻度は1日あたり平均在院患者の、


a.

0.1%未満

4点
b.
0.1%以上1%未満
3点
c.
1%以上5%未満
2点
d.

5%以上

0点

・ 抑制者リストにより B−16と同じ基準でチェックする 。


(B−16〜18 解説)
 医療行為を確実に遂行する、あるいは特に認知症のある患者で、転倒や異食、周囲への迷惑を防ぐため等の理由で、老人患者がベッドや車椅子、椅子等にヒモ等で縛られることがある(これを抑制と呼んでいる)。この行為は患者にとって身体的、精神的に大きな苦痛であるのは勿論のこと、家族にとっても大変なショックである。一方、看護、介護する側からみればより手がかからぬ対応法であることも事実である。いろいろな理由はあるにしても、抑制はきわめて限られた状況下で必要最小限のみ許される対応としてとらえ、その実施はまず家族の了解を得、その理由をカルテと看護記録に記載し、最高責任者である病院長の管理下におかれるべきである。患者の行動を制限しようとする対応がかえって不安、興奮を助長し、問題行動を多発させることも認識すべきであろう。


19.拘束着やいわゆるつなぎ服の着用比率は、


特a.

0%

7点
a.
1%未満
4点
b.
1%以上5%未満
3点
c.
5%以上10%未満
2点
d.

10%以上

0点

(B−19 解説)
 抑制と同様、患者によるオムツいじり、弄便の防止、あるいは医療上の理由から、自分の意志では脱ぐことの困難な、いわゆるつなぎ服(上下が一体となり、ファスナーや鍵のついている衣服)が使用されることがある。この使用により、看護・介護上の手間や危険が一気に軽減される例があることも否定できないが、患者からすれば極めて不快であり、家族の目には異様に映るのも確かである。オムツをはずしてしまう行為や、弄便等は他の方法でも対処可能であり、抑制と同様の理念で極力排除されるべきものと考えられる。


20.入浴は頻回かつ適切に行われていますか。その頻度は平均週に、


a.
随時または3回以上
7点
b.
2回以上3回未満
4点
c.
1.5回以上2回未満
2点
d.

1.5回未満

0点

・浴槽に入る生活習慣のない地域ではシャワー浴も可。ただし、足のみ、手のみ等の部分浴や洗髪のみはカウントしない。


21.入浴不能の患者には全身清拭を行っていますか。その頻度は週に 、


a.
日曜、祝祭日を含めて毎日
4点
b.
ほぼ毎日
3点
c.
3回以上
2点
d.

3回未満

0点

・全身清拭とは、清潔さを充分に保つことを目的に、全身をたんねんに濡れタオル等で拭くことであり、身体の一部分、または、結果が十分清潔でない場合は施行とはカウントしない。


(B−20・21 解説)
 寝たきり者ではもちろんのこと、大部分の老人患者では、入浴に際して多大な介助が必要なことは事実であるが、入浴は入院生活での最大の楽しみの一つであると同時に、身体の清潔を保ち、全身の血液循環を促進し、床ずれや合併症を防止する意味でも有益である。したがって、患者の身体的状況が許す限り、特殊浴槽等も駆使して週2回以上の入浴が確保されるべきである。独力で入浴できる患者には、毎日でも入浴できる体制を作り、できるだけ多くの入浴機会を設けたい。また、身体的状況のため、入浴が危険と判断された患者でも、できるだけ頻回の全身清拭がなされるべきである。それも不可能ならば、代わるものとして部分浴等でも対応されるべきである 。  


22.いわゆるマカロニ症候群を避けるための努力はなされていますか。


a.
病棟ごと、担当医ごとに気管切開、鼻腔栄養、点滴、尿留置カテーテル、酸素カニューレの患者が月1回以上チェックされ、適否についての検討が行われている
4点
b.
不定期にチェックされている
3点
c.
統計はないが医師、看護師でその適否について検討が行われている
2点
d.

各担当医に任されている

0点

・(a)については記録があることを条件にする


23.尿留置カテーテル着用者を減らす努力はなされていますか。その指標としての着用者の比率は、


a.
1%未満
4点
b.
1%以上3%未満
3点
c.
3%以上10%未満
2点
d.

10%以上

0点

・着用の理由のいかんは問わない


(B−22・23 解説)
 医療行為の進歩にともない、各種の器具機械を使っての身体管理が増加している。なかでも、各種のチューブが多用されていることを称してマカロニ症候群、スパゲッティ症候群などといれている。確かに、急性期で、かつ回復の可能性の大きい場合にはやむを得ないことであるが、一旦実施されると状況が改善されているにもかかわらず、安全のためと称して延々とチューブによる管理が続けられる傾向がないとはいえない。さらに、高齢のために、あるいは慢性的経過で身体的状況が徐々に下降し、かつ回復の見込みのきわめて少ない状況下で、多種のチューブによって延々と生かし続けられることは、尊厳ある、あるいは安らかな人生の終わりの迎え方として大いに疑問である。チューブ管理の適否については、原則として家族の了解のもとでなされるべきであり、全スタッフ間でいつも厳重に検討され、一本でも少なくする努力がなされるべきである 。                             


24.治療方針、投薬、注射の内容、薬効、副作用等について関係者が知っていますか。


a.
関わる全スタッフが知っている
4点
b.
医師と看護師のみが知っている
3点
c.
医師と看護責任者のみが知っている
2点
d.

医師のみが知っていることが多い

0点

@周知徹底の方法、書類等から推察する 
A職員意識調査によりチェックする


(B−24 解説)
 多職種が交代でチームを組んで一人の患者にあたる場合には、治療や対応の方針、内容の全スタッフ間での共有が基本となる。治療や対応方針の決定は医療専門職が行うとしても、その理由や方針は全員が理解すべきである。
 また、薬剤の効果や副作用は、患者の病状やその変化を理解する上できわめて重要であるにもかかわらず、従来はとかく医師のみ、あるいは医師と看護師のみの理解にとどまることが多かった。老人患者では自分の症状の変化を的確に訴えることができない、あるいは、症状があっても自覚しない等のケースが少なくないことを考えると、特に副作用については患者に接する全スタッフが理解し、その発症時に迅速に対応することは、患者の被る不利益を最小限にするのに有効である。      


25.退院時のサマリーは記載されていますか。


イ. 退院日から数日以内に記載されている
ロ. 必要にして十分な内容が記載されている
ハ. 退院者全員(死亡退院も含む)の記載がされている
. 多職種合議の上、あるいは多職種ごとに記載されたサマリーがある


a.
4点とも実施されている
4点
b.
3点実施されている
3点
c.
2点実施されている
2点
d.

1点のみ実施、あるいは実施されていない

0点

(B−25 解説)
 退院時のサマリー(要約)の記載は、他者への情報の伝達のみならず、担当した職員の資質向上に不可欠であるのに、その重要性は必ずしも認識されているとは言いがたい。一人の患者の全体の流れを今一度しっかり把握することで、新たな対応が開発されることも少なくない。


26.医療、看護、介護の適切さについての検討会(ケアカンファレンス等)は行われていますか。


イ.

病棟の全患者について行う
ロ. 3か月に1回以上検討する
ハ. 関連する4つ以上の職種(医師、看護・介護職員、リハビリスタッフ、医療ソーシャルワーカー、薬剤師、栄養士等)が参加する
ニ. 結果が明文化され、担当職種全員に伝えられる

a.
4点とも実施されている
7点
b.
3点実施されている
4点
c.
2点実施されている
2点
d.

1点のみ実施、あるいは実施されていない

0点

・ケアカンファレンス実施の記録をもとにチェックする
・個別性に乏しいものは1ランクさげる


(B−26 解説)
 これも老人医療に限ったことではないが、医療に対する批判の一つは、専門職の名のもとに医師や看護職員が情報を独占し、権威主義的な態度をとることである。疾病や障害をもつとはいえ、老人への対応には家族はもちろんのこと、医療専門職以外の職種や第三者も含めて多様な意見があり、かつ多様な意見が集約されてはじめて、患者の全体像が浮かび上がり、適切な対応が可能となる。したがって、誰でも自由に意見を述べられるような仕組みを通して、関係者の納得が得られるよう、医療、看護、介護の適切さを常に検証しなければならない 。

トップへ
老人の専門医療を考える会 JAPAN ASSOCIATION FOR IMPROVING GERIATRIC MEDICINE
〒162-0067 東京都新宿区富久町11-5 シャトレ市ヶ谷2階 TEL.03-3355-3020 FAX.03-3355-3633