現場からの発言〈正論・異論〉
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老人医療NEWS第53号 |
第4次医療法の改正が3月1日より施行されました。今回の改正のなかで、病床区分の変更や広告規制の緩和などについては多くの方がコメントをされています。
しかし、もう1つのポイントである『臨床研修の必修化』については実施が16年4月と先のこともあり、あまり述べられていません。
この点について少し述べさせていただきます。
今回、医療従事者の資質の向上を目標として、医療法が改正され、@医師は2年以上、歯科医師は1年以上の臨床研修が必修とされ、A研修中は臨床研修に専念することも義務づけています。B研修修了を登録制とし、C病院・診療所の管理者は研修の修了が必須要件となり、未修了者には診療所の開設も制限される様子です。
現在の国家試験合格者(年間16000人)のうち約85パーセントが臨床研修を受けていますが、現状の研修期間、内容、方法などプログラムは多種多様であり、今回の改正による実施体制の全国的な整備は大きな課題と思われます。
研修内容の詳細はまだ公表されていませんが、研修プログラムには、内科系、外科系双方は必修で、さらに救急医療等も研修できるように盛り込むこととされています。
これはかなり高いハードルで、独自で研修プログラムを作成できる大規模な病院は単独で研修指定病院となれるでしょうが、私どものような中小規模の病院では単独で指定を受けることは到底不可能です。その点を考慮して『病院群』や『研修施設群』としての研修も行われる予定です。そのため、例えば徳島大学では『徳島大学関連病院会』の会員病院を中心に、複数の病院で研修施設群を形成し登録(全県下を3〜4病院群に分割)、研修を担っていく方法を検討しています。私どもの施設もその病院群の中で『長期療養』と『リハビリテーション』の研修の担当としての指定を受けられるよう目指しています。
また、研修中は、研修に専念することが義務づけられているため、研修指定病院に研修医が専属するような形となり、研修未指定病院には卒後2年以内の医師が非常勤や当直として勤務しなくなる可能性もあり、地域の医療供給体制にも大きく影響します。そのため、中小病院であっても、何らかの形で研修指定病院(群)となることが必要です。まだ具体的な動きの出ていない所が多いようですが、今後の地域の大学の動向に気をつけてください。
まだまだ多くの課題があり、複数の病院で分担する場合、研修先毎による給与差の問題や2年間に内科系、外科系、救急等の研修先をローテーションするため、2〜3ヶ月ごとに研修先を移動する形となり、研修を受けている側も指導側も共にかなり負担も大きく、また研修先について研修医の選択となるため、分担制であっても質の高いプログラムや指導医の質の確保も大変な課題となります。
今後、研修の方法や内容についても順次公表されますので、その点についても気をつけてください。 (13/3)