平井基陽 |
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老人の専門医療を考える会の会長を仰せつかっております、平井でございます。 老人の専門医療を考える会は、昭和58年に結成されました。会員は、現在55名で、今までも会員数60名までの非常に小さな集団でございます。 この会が元々結成されたいきさつを、簡単に申し上げます。会が発足した昭和58年といいますと、いわゆる行き場のないお年寄りが病院にたくさん収容されていた頃で、マスコミ等々から非常に非難を受けておりました。いわゆる悪徳病院ということで、病院に入れて薬漬け、点滴漬け。それから、中には縛る。今、やっと問題になっている身体拘束等の問題がございました。 当時、私はまだこの会には入会していませんでしたが、その時に立ち上がった4、5名の医師が、「これはなんとかしないといけない。われわれ老人医療を担うものが、自らの責任において少しでも老人病院のイメージを上げよう」ということで、当会を立ちあげ、今年で22年目を迎えます。今まで、そのような志をだれにも負けず高く持とうと運営している小さな集団でございます。 このシンポジウムは、広く市民の方々のご意見をいただこうというような趣旨で始まりました。そのテーマは、一貫して「どうする老人医療これからの老人病院」ということです。今回は痴呆性老人を取り上げましたが、過去25回の中で2度ほど、このシンポジウムで痴呆の問題を取り上げさせていただきました。 皆さんよくご存じのように、ここ数年、介護保険制度の見直し等で、尊厳ある高齢者ケアをと言われています。痴呆はどなたでもなる可能性があり、要介護の人の実に7割ほど、あるいは8割と言ってもいいのですが、何らかの痴呆の症状をお持ちです。ですから、痴呆というものは、特別なケアあるいは治療ではなくて、すべての人が痴呆を持つということで、ケアを組み立てましょうということが、一つございます。 それからもう一つは、高齢者リハビリテーション研究会というものがございまして、そちらでも、リハビリのあり方ということで3つのモデルを挙げました。1つは、脳卒中型というような従来のモデル。それからもう1つは、廃用性といいまして、使わないがために機能低下に陥る、その2つ目のモデル。そして3つ目のモデルとして、痴呆型のモデルというものが提案されましたが、痴呆に関してはまだ確立されておりません。 痴呆といいますと、皆様ご存じのように社会福祉関係、あるいは施設で言いますと老人保健施設、あるいはグループホームというところで、非常に関心が高くなっているのも事実でございます。 そのようなことで、医療を担うわたしたちが痴呆に対してどのように関わるかということで、痴呆の問題を取り上げるのは今回で3度目になります。当会といたしましては、3度目のこの時期にテーマとして取り上げさせていただきました。 本日のシンポジストにお招きした4人は、当会の会員ならびに関係者でございます。お一人は利用者の立場からということで、ご参加いただいております。 どうか皆様方の積極的なご意見を頂戴いたしまして、それをまた明日からの一つの糧にして、ますます老人医療の質を高めるために頑張っていきたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 |