家電芸人というと、今までお笑いをやっていた芸人さんが洗濯機、テレビ、冷蔵庫や掃除機はさることながら、パソコンやスマートホンについて「うんちく」を述べ、ひな壇であれやこれやを言う。

私は、趣味がパソコンやカメラなので、千葉駅前のＹカメラ量販店へよく行く。買わないで目の前で見て、パンフレットを持って帰る。時には、知り合いの店員さんと新情報などの会話をすることもある。

私が、この店によく来ていたこともあると思うが、店員がホームレスにからまれ、トラブルになっていたところを助けてあげたことから仲良くなった。ホームレスが見本の髭剃りを使うと強引に言うので、店員が「保健所からの指導でお試しはお控えいただいております」と言っていることから始った。私は中に割って入るほどのフィジカルさはないので、他の店員を呼びに行った。「仲間が困っているぞ、助けてやれ」と。そんなこんなで、よき関係になった。

さて、最近の家電の話題は音に関してはポタアンだろう。ポタアンとはなにか、ハイレゾとはなにか。これらはキーワードになる。何の事、という方々は是非家電店へ。私は数年前から、検診時に右側の聴覚にチェックが入っているので、音では補聴器の方へ興味が移行するのだろう。

一番はカメラだ。Ｃ社のカメラを使っていたが、重たくなってきた。Ｅカメラ三台だ。一台二キログラムあるので、諸々を入れると十キログラム。装備だけみるとプロ級であるが、結果はなかなか。現カメラが重いのなら、軽い機種をということでＳ社に替えてみた。軽くて小型が売りのＳ社のカメラは、難点が二つある。一つは値段が高い、二つ目は説明書の字が小さい。しかし現在何とか使用している。一番使っているカメラはＯ社製でタフ。約二メートルから落としたり、海に十五メートル潜っても大丈夫というカメラに、驚くことに顕微鏡モードがついていて、拡大率が半端ではない。このカメラであれこれ撮っていたが、ある日なくなった。仕方がない、もう一台、と駅前のＹ量販店へ行くと品切れ、売れすぎで入荷待ち、とのことだった。それではと記憶を巻き戻して、「タクシーへ乗った時か」と思い、タクシー会社へ電話した。「赤いカメラですね」という返事で、早速、菓子折り持参で引き取りに行った。

さて、色々なカメラで撮った作品は、外来の隅に貼っている。これを季節毎に入れ替え、また、ホームページにも使っている。
注意すべきは�@季節のテーマ�A動物�B花�C思い出に残る作品、である。写真はパネルでなく壁に直貼りしている（額縁は重く、お金もかかるため）。また間には音のついているカードで花火の音や虫の声、オルゴールの音色などをアクセントとしている。

さて、実益であるが、これらの写真を選んでもらったりして、注意力をテスト、また前回なにをもらったとか、記憶のテストとして利用している。

以上が家電老人の弁である。

地域包括ケアが医療・介護の施策の大きな柱となり個々の医療機関・事業体だけでなく自治体、医師会、看護協会等関係団体が地域でいろいろな取り組みを始めて連携構築に取り組んでいる。今年四月の診療報酬改定では急性期病院から療養病床まで在宅復帰率が要件に入り、地域包括ケア病棟も創設された。これまでも地域包括ケアの構築は言われてきたが今年の診療報酬の改定で前面に出てきた。来年の介護報酬改定でもこの方針はもっと強く打ち出されると予測できる。

常々不思議に思うのだが医療保険や介護保険でいろいろな制度が作られ報酬改定で細かいルール等が決まりサービスの提供がされているが一般の人はそれらをどれくらい分かっているだろうか。我々は理解するために改定資料を読み、説明会へも出席しスタッフ同士でも確認している。それらの内容は一般の人が一読する程度で理解するのは難しいと感じるものであるが。

一般の人は医療・介護サービスが必要になった時に患者・利用者となり、サービス提供者、行政の担当者等から説明を受け理解して（？）サービスを受ける。患者・利用者、家族への周知・説明の多くは我々が担っているが、説明は個々の患者さん・利用者に必要なことだけになりがちである。充分理解されたかどうかの確認ができているとは言い難い。

そう考えると、今更ながら我々サービス提供者は質の高いサービスを提供すると伴に患者・利用者が理解できているかの配慮は必須である。サービスを受ける側は充分理解できなければ不安と不満のなかで、余儀なくそうされた。との思いを持つのは当然だ。

私が診たある患者の家族を思い出す。七〇歳代後半の患者ですい臓癌の手術後、胆癌状態で脳梗塞を発症、病状も不安定な状態で当院回復期リハ病棟へ転院された。入院当日深夜に急変され、その時ご家族が「リハビリの専門病院で○○病院（三次救急の紹介病院）よりいい病院だからと説明を受けて転院したのに。一般治療の体制は○○病院と同レベルで更にリハビリがいいと思ってきたら、急性期の治療は○○病院に遠く及ばない。どうなっているのか、ここへ転院するんじゃなかった」と、言われた。動転されての言葉であり後に理解していただけたが本心からそう思っておられると推察できた。リハビリ病院の急変時の体制・対応が三次救急病院と同じレベルではないことを常識と思っているのは医療関係者だけかもしれないと驚いた。

それからは当院へ紹介いただいた患者・家族に、急変時の対応は急性期病院と同レベルではないことを必ず説明するようにしている。

考えてみると私自身、新聞・ニュースなどで社会の動きにアンテナを出しているつもりだが医療以外の法律や制度の変更に対しては一読する程度で、充分理解できてはいない。金融機関や建設業者等と取引について交渉する時、法律や実質的な内容について私は専門家とはレベルが違うので、契約するには説明をうけてから情報収集と勉強の時間を必要とする。それでも想定外のことには説明を求める。それがその業界では常識なこともままある。

地域包括ケアを構築するにはサービスを受ける人達だけでなく地域住民全体に制度を周知・理解してもらうことが大きな要因だと思う。そのための活動をしていきたい。

はじめまして、今年入会した芳珠記念病院の仲井です。入会後、天本先生や齊藤先生が築かれた素晴らしいコンセプトの施設群を拝見し、街づくりに匹敵するスケールの大きさと、一人一人の利用者さんに対する肌理の細やかさに感動致しました。

感動冷めやらぬうちに「機能評価の評価をするから来るように」とのお声に導かれ、東京にやって来ました。とても親切にして戴き、一緒に来た看護局次長と伸び伸びと参画致しましたが、皆さん本当に老人医療への造詣が深いことに敬服しました。私の病院は三百二十床の自称「地域包括ケアミックス病院」として、ＨＣＵ十床、七対一の一般七十八床、地域包括ケア病棟八〇床、医療療養病床六〇床、障害者病棟三十二床、介護療養病床が六〇床の構成です。十年程前までは疾患を治せば退院できる従来型の急性期医療の提供が多かったのですが、数年前から潮目が変わり、高齢者の生活支援型医療「癒すこと、支えること、抱えて生きること、看取ること」の必要性が急速に高まったことを肌で感じていましたので、とてもよい機会でした。

これまで老人医療といえば慢性期というイメージでしたが、今では高度急性期から急性期、回復期、慢性期、在宅医療、介護まで全てに必要だと思います。小児は小児科が診るように、本来なら老人は当会の先生方や老年医学科・高齢医学科の医師が診る事がいいと思うのですが、現状は、独学やかつての全科当直で、あるいは当会のような先進的団体の活動を通じて知識を得た医師が高齢者を診ています。また、今後は医学生教育における老人医療、増加する高齢者と減少する小児、増える消滅の危機に曝された地域等の諸問題から、高齢者だけでなく小児や生産年齢のコモンディジーズ等を入院・外来を問わず診るための総合診療科が必要だと理解しています。それでも認知症を含めた老人の専門医療について、全ての医師が理解し、取り組むことが最重要だと思います。

ここで悩んだのは、老人の専門医療の定義の解釈と形式知化です。当日参画されていた藤井先生や進藤先生も真剣に考えて下さり、歴年齢と身体・精神年齢の個人差が著しいので単純に年齢だけでは老人と言えないことを確認しました。私は無い知恵を振り絞り考えた結果、高齢者で治療を含むいろんな方針を患者はもちろん家族を交えて徹底的にカンファレンスをしなければ決まらない症例に必要な医療と解釈しました。しかし、これは単に入院している高齢者の生活支援型医療の一部分を説明しているだけです。齊藤先生からは、ＩＣＦを使う案が提示されました。そうすれば高齢者の生活機能と障害の内容によって老人の専門医療が定義できそうです。目から鱗です。

ＩＣＦは人間の生活機能と障害の分類法で、その目的は、健康状況と健康関連状況を記述するための、統一的で標準的な言語と概念的枠組みを提供することとされています。生活機能低下と障害の原因は、老年症候群や障害児・者等、疾病、外傷、先天的要因と原因も年齢も様々です。「○○があれば、△△ができる」という考え方をいろいろな角度から取り入れて、個人の持てる能力を最大限引き出す事にも使えます。例えば、入院患者の在宅・生活復帰支援は「方針決定や医療・介護を提供する段階で多職種による様々な支援を行えば在宅生活も可能になる」といえます。

老人と高齢者の違い、老人の専門医療と高齢者の生活支援型医療の違い等、知りたいことはたくさんあります。「人はどのタイミングでどのようにして従来型急性期の徹底した治療と生活支援型医療との比較・選択を容認するようになるのか」も解明したいです。今後も継続して老人の専門医療について諸先生方と考える機会を得、これを機に当院の急性期医療チームでも老人の専門医療を考えたいと思います。

草創と守文といずれが難きや。

貞観政要に書かれている根本的な問いである。今流にいえば、創業と継続はどちらが難しいのかという意味で、多分、継続が創業より難しいということであろう。源頼朝や徳川家康が愛読し、北条政子が日本語に翻訳させて読んだという、唐の時代のこの書物は、今日の日本でも、読み継がれた帝王学の古典である。

老兵は死なず、ただ消え去るのみ。ごぞんじ、ダグラス・マッカーサー元帥の退任演説のフレーズである。戦前の大日本帝国海軍は、サイレント・ネイビーとかいって、黙して語らずがスマートだと思い込んでいたようだ。勝ち戦では、はしゃいで、負けると黙り込むのは、フェアではないように思う。

聖書のコリント人への手紙一〇章一三節に「神は真実な方ですから、あなたがたを耐えられないほどの試練に会わせることはありません。むしろ、耐えられるように試練とともに脱出の道も備えてくださいます」とある。神は乗り越えられる試練しか与えないということだろう。

事業継続が難しく、老兵は消え去り、この先も乗り越えられる試練しかなく、脱出の道があるとすれば、そろそろ決断の時だと思うだろう。物事には、必ず「はじめ」があるが「おわり」もある。人が生を受ければ、そこから死へと歩むといってもおかしくない。ただ、青、壮、老の時期ごとに趣きもあれば、味もある。しかし、長老になればなるほど判断が難しい。

二代目会長であった大塚宣夫先生は「六〇歳からの判断は五割間違い、七〇歳以上の判断はすべて間違う」とおっしゃる。確かに、老年期の判断を間違ったのではないかという人はいくらでもいるし、自分自身の判断が間違っていないという自信もない。つまり七〇歳過ぎの人は、間違っても良い判断をするべきで、多くの人々に迷惑がかかりそうな時には、判断しないように注意することも必要だということであろう。

病院の理事長や院長というのも、どうも七〇歳位までかと思うが、高年齢になればなるほど「間違っているかもしれない」という自戒が重要で、この自戒が年寄りの知恵かもしれないと思う。

我々は、老人医療という分野で、病気や障害、生活や人間と向き合ってきた。老人や家族を理解するということは、人や社会を理解することであり、このことなくしては老人の専門医療は確立しないということが信念である。しかし、自分自身が老人と呼ばれるようになると、いったい老人のことを本当に理解していたのか、はなはだ心もとない。

長年当会で活動を共にしてきた同志の多くは、四半世紀を過ぎ、ある者は老年に、そしてある者は壮年期にあるが、共通の課題は、後継者の養成である。別の言葉でいえば、事業継承ということを深く考えなくてはならなくなっている。しかし、考えれば考えるほど難しく、どこからどうしていいものか、正確に理解できていない。

自らの子どもに事業継承するというのは、わかりやすいが、子どもがいない、子どもはいても別の世界で生きたがるとかいう話も多く、子どもがいて素直に継いでくれる確率はそれほど高くない。後継者がみつかっても、事業継承可能なように養成しろとかいわれたりすると、これまたどうして良いかわからない。

こんなことであれば、もっと若い時から考えておけばよさそうであるが、若い時は若い時で日々一生懸命でアップアップだったように思う。

正直、後継者養成はとても難しいが、まず、自分が何時消え去るかを決断しないと、よけい難しくなる。間違うかもしれないが、決断しなければいけないのが難しい。

＊ へんしゅう後記＊

当会では新たな機能評価項目を作成している。理念、生活機能への働きかけなどの八分類で考えているが、こういった定期的な評価にチームで取り組むことが、自ずと次の目標を見い出し、活性化することにつながっていくのではないだろうか。