老人の専門医療を考える会 - 介護力強化病院の機能評価 - 研究報告
平成26年度機能評価にあたって

 老人の専門医療を考える会では、これまで機能評価を毎年実施してきました。

 この機能評価は、高齢者およびその家族のニーズに呼応し、最良のサービス提供をしようと取り組む際に、役立てていただきたいと考えています。

 加齢や疾病により、高齢者の生活機能は常に変化します。集中的な治療が必要な時、生活機能の再建が必要な時、生活支援が必要な時など、その時々でニーズは変化します。その変化に応じて、治療を重視したり、生活支援を重視したりと、関わる内容も変化が必要です。老人の専門医療を提供する施設は、利用者の年齢によらず上記の変化に柔軟に対応できる施設であると考えます。

 今回、評価の見直しを行いました。ワーキングチームで議論を重ね、@組織の理念と基本方針、A設備と環境、B活動・参加につながる生活機能への働きかけ、Cリビングウィル(本人・家族)、D病院内外での(多職種)協働、E地域の中での役割、F教育・研修、G満足度、の8つが、「老人の専門医療」を考える際の、重要な視点であるという結論に至りました。

 医療機関を取り巻く環境から考えると、地域包括ケアシステムの実現に向け、「老人の専門医療」を各地域で提供できる施設が欠かせませんが、共助にあたる高齢者の医療施設は、保険制度内だけの役割に留まらず、自助・互助・公助への影響も意識したかかわりが求められます。

 また、老人医療のあり方を議論する中で、国際生活機能分類(ICF)に当てはめて再考すると、これまでの老人医療は、「健康状態」や「心身機能・構造」に偏りがちで、「活動」や「参加」までを生活機能ととらえ、ご本人の「健康状態」や生活するための「個人因子」や「環境因子」も含めた働きかけが必要であると考えます。

 今回、「老人の専門医療を考える会 機能評価」を利用するに当たっては、設問に対する評価をするだけでなく、自施設の工夫や取り組みを言語化する過程で、組織の変化を確認したり、他施設の取り組みを参考にして、さらなる発展のヒントを得て頂けると幸いです。

平成27年3月31日
老人の専門医療を考える会
会長 齊藤正身

 

     
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