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老人病院機能評価

E. 教育、研修に関する項目

1. 望ましい職員像、行動模範の浸透のため、次のことが実施されていますか 。


イ. 明文化されている
ロ. 定期的に教育を行っている
ハ.定期的に人事評価を行っている
ニ. 本人に評価を伝えている


a.
3点以上実施されている
7点
b.
2点が実施されている
4点
c.
1点のみ実施されている
2点
d.
どれも行っていない
0点

イ.明文化→わかりやすく具体的であることが必要
ロ.教育の形式、頻度をチェックする
ハ.人事評価の方法、実績を示す記録等をチェックする
ニ.職員への質問をしてみて決める


(E−1 解説)
  一般に人は、はっきりした目標が示され、それが妥当で納得できるものであれば、それに向けて自らを律し成長していく存在である。病院長や組織のトップがはっきり示さない、あるいはその浸透の努力を一瞬でも怠れば、職員の成長は期待すべくもない。


2. 医療スタッフ間で、業務に関連した勉強会、研究会は行われていますか 。


a.
毎週行っている
4点
b.
毎月行っている
3点
c.
年に3〜4回行っている
2点
d.
不定期に行っている
0点

(E−2 解説)
  老人医療や老人看護の分野でも、新しい知見、新しい対応方法の登場により現場での対応が一変することも少なくない。また、業務、運営についてもちょっとした工夫が業務の効率化、サービスの改善に大きく寄与する。したがって、医療間スタッフでのケアカンファレンス、勉強会、研究会は不可欠である。加えて、これらの勉強会や研究会は、情報の共有化をすすめ、他の職種の発想や理解の仕方を知ることで、スタッフ間の理解と洞察を深めるのに有用である。短時間に頻回に行うのが肝要である。


3. 全職員を対象にした教育、研修のための院内活動が行われていますか 。


a.
毎月行っている
4点
b.
2〜3か月に1回行っている
3点
c.
年に1〜2回行っている
2点
d.
特に決めていない
0点

4. 介護職員へのケアに関する専門的教育を行っていますか。


a.
毎月行っている
4点
b.
2〜3か月に1回行っている
3点
c.
年に1〜2回行っている
2点
d.
特に決めていない
0点

5. 全ての職員に対し、接遇教育を行っていますか


a.
あらゆる機会をとらえて行い、成果をあげている
4点
b.
定期的に実施している
3点
c.
不定期に実施している
2点
d.
特別な教育は行っていない
0点

E−2〜5
・形式、頻度を記録でチェックする。


6.職務上必要とする学会や研修への参加を奨励していますか。
その指標として、費用、時間とも病院負担で参加させている職員の年間の比率は、


a.
80%以上

4点

b.
50%以上80%未満
3点
c.
30%以上50%未満
2点
d.
30%未満
0点

・職員意識調査によりチェックする
・院内のルールを原則として文章化されたものでチェックし判定する


7. 図書や研修機器が整っていますか。職員一人当たりの年間投入額は 、


a.
3,000円以上投入している
4点
b.
2,000〜3,000円投入している
3点
c.
1,000〜2,000円投入している
2点
d.
1,000円未満の投入または実績がない
0点

・図書等の整備状況より推測する


8. 院内における研究発表の機会を設けていますか。


a.
全職員が参加し、年2回以上実施している
4点
b.
全職員が参加し、年1回実施している
3点
c.
一部の職員のみで年1回以上実施している
2点
d.
不定期に開催している、または行っていない
0点

・実施記録にてチェックする


(E−3〜8 解説)
  サービス業の特性として、サービスが大部分は個人によって生み出され、その場で消費されるために品質の管理が難しい点があげられる。また、100人の職員のうち一人の対応が悪いゆえに、他の99 人の努力が水泡に帰すといった側面もある。となれば、職員の教育、研修を通じてサービスの品質の底上げを図ることが、サービス水準を上げる重要な要因となる。一般に病院は質の高いサービス内容を要求されているのに、教育、研修に費やされる時間も費用もきわめて少ない状況にある。加えて医療、看護、介護はきわめて専門的な知識、技術でもあり、その進歩、発展もめざましいものがある。目先の業務に追われ、自分の病院内だけ、自分の分野だけが世界とならないよう、他の病院や他分野の研修を通じて職員の質の向上を図る必要があろう。


9. ターミナルケアの検討はなされていますか。


a.
医師、看護師以外の職員も参加して行っている
4点
b.
該当する部署の医師、看護師のみで行っている
3点
b.
一部の有志で行っている
2点
c.
特に行っていない
0点

・院内の実施記録、実績より判定する
・職員意識調査もあわせて実施する


(E−9 解説)
  老人病院に期待される役割は、疾病や障害を有するいわゆるハイリスクの高齢者を対象として、@残存能力を最大限に活用した生活の再構築、Aより高いQOLの維持、B本人も周囲も納得できる死の準備、にある。
今まで医療の世界では、死を敗北としての位置づけでしかみない結果、生物学的な延命のみに努力が払われ、本人も家族も、携わる医療関係者も惨めな思いのうちに死を迎えるケースが多かった。しかし、今やある年齢、不治の病となれば、いかに安らかに尊厳を保ちつつ人生を終えることができるかが社会の求めるものとなりつつある。文化が異なれば死の形も違うのが当然であり、安易に他の国の真似をするわけにはいかない。難しくとも納得できる死を迎えられる体制づくりに向けて、検討は家族も含めて全関係者でなされるべきである。


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